こんにちは。なかの不動産です。
杉並区でマイホームの購入を検討されるお客様から、「この先、杉並区の人口ってどうなっていくのでしょうか?」というご質問をよくいただきます。住まいの購入は、ご家族の将来だけでなく、その街の未来にも関わる大きな決断です。街の活気を測る指標である「人口」の動向は、不動産の資産価値を考える上で非常に重要な要素となります。
そこで今回は、杉並区が公表しているデータを基に、杉並区の人口がこれまでどのように推移し、今後どう変化していくのかを、不動産のプロの視点から分かりやすく解説していきます。
【はじめに】杉並区の魅力的な特徴
人口動態を見る前に、まずは杉並区がどのような街なのか、その特徴と魅力に触れておきましょう。杉並区が多くの人から「住みたい街」として選ばれ続けるのには、確かな理由があります。
●都心へのアクセスと閑静な住環境の両立
JR中央線・総武線、京王井の頭線、西武新宿線、東京メトロ丸ノ内線といった複数の鉄道路線が利用でき、新宿や渋谷、東京駅などの都心へ抜群のアクセスを誇ります。その利便性にもかかわらず、一歩路地に入れば緑豊かな閑静な住宅街が広がっており、「都会の利便性」と「落ち着いた暮らし」を両立できるのが最大の魅力です。
●豊かな緑と公園
善福寺公園や和田堀公園といった大規模な都立公園をはじめ、区内に数多くの公園が点在しています。武蔵野の面影を残す緑豊かな環境は、子育て世代のファミリー層から特に高い支持を得ています。
●個性あふれる文化の発信地
高円寺の古着文化やライブハウス、阿佐ヶ谷のジャズストリート、西荻窪のアンティークショップ街など、駅ごとに独自のカルチャーが根付いているのも杉並区の面白いところです。活気ある商店街も多く、歩くだけで楽しい街並みが広がっています。
このような魅力的な住環境が、人々の暮らしを支え、資産価値や人口動態にも大きな影響を与えています。
杉並区の資産価値は?地価の動向
では、不動産を選ぶ上で最も気になる「資産価値」について、土地の価格(地価)の動向から見ていきましょう。
過去から現在:堅調な上昇トレンド
杉並区の地価は、人気の住宅街ということもあり、比較的安定して推移しています。特に近年は上昇傾向が顕著で、2025年の公示地価(住宅地)は前年比で+7.5%と力強い伸びを示しました。コロナ禍で一時的な停滞も見られましたが、それを乗り越え、再び上昇基調に戻っています。過去10年間で見ても、杉並区の土地価格は約35.6%上昇しており、資産性の高いエリアであることがデータからも裏付けられています。
| 公示地価(住宅地) | 坪単価 | 前年比 |
| 2023年 | 約194万円/坪 | +3.7% |
| 2024年 | 約205万円/坪 | +5.4% |
| 2025年 | 約221万円/坪 | +7.5% |
出典:トチノカチ
未来の展望:今後の見通し
今後の見通しについては、複数の要因が考えられます。
●ポジティブ要因
後述する通り、杉並区の人口は2033年頃まで安定して推移すると予測されており、底堅い住宅需要が価格を下支えすると考えられます。交通の便や住環境の良さから、今後も安定した地価推移が期待できるでしょう。ある予測では、10年後(2032年)の土地価格は+26.0 %上昇するというシナリオも出ています。
●注意すべき要因
全国的な建築費や人件費の高騰、今後の金利動向などは、不動産市場全体に影響を与える可能性があります。とはいえ、杉並区は大規模な再開発計画に頼らずとも元々の人気が高いため、都心部と比較した際の割安感から、地価は堅調に推移するという見方が強いです。
総じて、杉並区の不動産は今後も安定した資産価値を維持していく可能性が高いと言えるでしょう。
杉並区の総人口の推移
続いて、資産価値の背景にある、区全体の人口がどのように変化してきたかを見てみましょう。
杉並区の人口は、戦後に増加を続け、1975年(昭和50年)に約54万人でピークを迎えました。その後一度は減少に転じましたが、1997年(平成9年)を底として再び増加傾向となり、近年まで緩やかに人口が増え続けています。
そして、杉並区が発表している将来の人口推計によると、区の総人口は2033年(令和15年)に約59万人でピークを迎え、その後、緩やかに減少していくと予測されています。
ここから読み取れるのは、少なくとも今後10年弱は、杉並区の人口は安定、あるいは微増で推移する可能性が高いということです。これは、住宅を購入する層、つまり買い手からの需要が当面は堅調に続くことを示しており、不動産市場にとっては非常にポジティブな材料と言えます。
年齢別の人口構成
次に、人口の中身を年齢別に見てみましょう。人口は一般的に、以下の3つの区分で分析されます。
●年少人口(0~14歳)
●生産年齢人口(15~64歳):社会の働き手の中心
●老年人口(65歳以上)
直近のデータと将来の推計を比較すると、年少人口と生産年齢人口の割合は緩やかに減少していく一方で、老年人口の割合は増加し続ける見込みです。
| 年齢区分 | 2024年(令和6年)時点の割合 | 2065年(令和47年)の予測 |
| 年少人口 | 約11% | 約10% |
| 生産年齢人口 | 約66% | 約61% |
| 老年人口 | 約23% | 約29% |
出典:杉並区将来人口推計
特に、高齢者人口の割合(高齢化率)の上昇は顕著で、2065年には区民の4人に1人以上が高齢者となる計算です。
これは杉並区に限った話ではなく、日本全体の大きなトレンドです。不動産の観点から見ると、住宅市場のメインプレイヤーである生産年齢人口は当面、高い水準を維持するため住宅需要は安定しますが、将来的にはバリアフリー設計の住宅や、医療機関に近い物件のニーズが高まっていくことが予想されます。
世帯数の推移
人口と合わせて重要なのが「世帯数」です。人口が横ばいでも、世帯数が増えていれば、それだけ多くの住宅が必要になるからです。
杉並区では、人口が緩やかに増加していることに加え、全国的な傾向でもある「核家族化」や「単身世帯の増加」を背景に、世帯数も増加傾向にあります。
このことは、ファミリー向けの戸建てやマンションだけでなく、単身者やご夫婦のみの世帯を対象としたコンパクトなマンションの需要も非常に根強いことを示しています。多様なライフスタイルに応える住宅が求められる、成熟した住宅地ならではの特徴です。
外国人人口の推移
最後に、国際的な視点から外国人人口の動向も見てみましょう。
杉並区の在住外国人数は、コロナ禍で一時的に減少したものの、2023年(令和5年)に再び増加に転じ、2024年(令和6年)1月には過去最高を更新しました。
| 年月 | 外国人人口(人) | 備考 |
| [1]2022年1月 | 16,339 | コロナ禍で減少 |
| [2]2023年1月 | 17,294 | 回復傾向 |
| [3]2024年1月 | 19,178 | 過去最高 |
出典:住民基本台帳による世帯と人口
2024年時点で、外国人人口は区内総人口の約3.3%にあたり、杉並区が国籍を問わず多くの人から「住みたい街」として選ばれている証拠です。
外国人居住者の増加は、賃貸市場の安定につながるだけでなく、多様な文化が根付く活気ある街としての魅力を高め、不動産市場全体の下支え要因となります。
まとめ
ここまで見てきたデータを総合すると、杉並区の未来は以下のように要約できます。
●地価は堅調に上昇しており、今後も安定した資産価値が期待できる。
●総人口は2033年頃をピークに、当面は安定して推移する。
●生産年齢人口も当面は厚みを維持し、住宅需要は堅調に続く。
●世帯数・外国人人口の増加が、多様な住宅ニーズを生み出している。
●長期的には高齢化が進むため、将来を見据えた住まい選びが重要になる。
結論として、杉並区は今後も人気の住宅地として、安定した不動産需要が見込める非常に魅力的なエリアです。地価や人口動態といった客観的なデータも、その価値を力強く裏付けています。
不動産の購入は、専門的な知識と長期的な視点が不可欠です。ご自身のライフプランと、街の未来を重ね合わせながら、最適な住まい探しを進めていくことが大切です。
不動産のご相談なら、なかの不動産まで。
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