こんにちは。なかの不動産です。
不動産会社として日々お客様のご相談を伺っていると、単に「いい部屋を探す」という以上に、「そもそも入居を受け入れてもらえる物件が少ない」という現実に直面している方が少なくありません。
特に、
- 高齢者の方
- 障害をお持ちの方
- 外国籍の方
- 子育て世帯や低所得世帯
などは、民間賃貸市場において入居を断られるケースが多くあります。
こうした課題に対して、国(国土交通省)が推進しているのが「住宅セーフティネット制度」です。
今回はこの制度の内容と、実際に杉並・中野・練馬エリアで住まいを探す際のポイントを、不動産取引の現場目線で解説します。
住宅セーフティネット制度とは?
住宅セーフティネット制度とは、住宅確保要配慮者(=賃貸住宅を借りることが難しい人)にも安心して暮らせる住宅を確保するための公的支援制度です。2025年に改正された「住宅セーフティネット法」に基づき運用されています。
主な柱は次の3つです。
住宅情報の登録・公表制度
→民間賃貸住宅のうち、住宅確保要配慮者の入居を受け入れる物件を登録し、自治体やポータルサイトで公開。
改修費の補助制度
→空き家などを改修(バリアフリー化や耐震工事など)してセーフティネット専用住宅又は居住サポート住宅にする場合、オーナーに対して国や自治体が補助金を支給。
入居支援・見守り支援
→入居後のトラブル防止、生活支援、見守りなどをNPOや社会福祉法人と連携して行う仕組み。
対象となる「住宅確保要配慮者」とは?
法令上、以下のような方々が「住宅確保要配慮者」とされています。
- 高齢者(主に65歳以上)
- 障害者
- 外国人
- 子育て世帯
- 低所得者
- DV被害者
など
このような方々が「民間賃貸住宅に入居を申し込んでも断られることが多い」現状を改善するのが目的です。
なぜ入居が難しいのか?現場で感じる課題
オーナー様(貸主)が入居をためらう理由としては、
- 家賃滞納のリスク
- 生活トラブルや孤独死への不安
- 言葉や文化の違い(外国人の場合)
などが挙げられます。
一方で、借りたい側にも「保証人がいない」「日本の賃貸慣習がわからない」といった課題があります。
この“ミスマッチ”を埋めるために、住宅セーフティネット制度では行政と民間事業者の協働が重視されています。
登録住宅の探し方
登録住宅は、国土交通省が運営する公式サイト、セーフティネット住宅情報提供システム
で検索できます。
「地域」「受け入れ対象」「家賃帯」などを指定して検索でき、登録件数は全国で約96万戸(2025年11月時点)と年々増加しています。また、中野区・杉並区・練馬区でも自治体独自の支援窓口が設けられています。不動産業者と自治体が連携して紹介するケースも増えており、地域に根ざした不動産業者に相談することが成功のカギになります。
オーナー側への支援も充実
実はこの制度、入居者だけでなく貸主にもメリットがあります。
例えば、
- 改修費用の一部を国・自治体が補助(上限あり)
- 家賃補助や家賃債務保証制度の利用
- 地域包括支援センターなどとの連携による見守り支援
こうした支援により、オーナーの心理的・経済的ハードルを下げ、受け入れを促進しています。
なかの不動産でも、オーナー様向けに登録住宅化のご提案をすることがあります。
現場での取り組み事例
たとえば中野区では、地域包括支援センターや社会福祉法人が中心となり、「見守り付き賃貸」を登録住宅として活用するケースがあります。また、練馬区では空き家活用を目的にリフォーム+セーフティネット登録を進める事業が拡大中です。
杉並区でも、外国人留学生や技能実習生向けに、地域ボランティア団体が生活支援を行う取り組みが進んでいます。こうした「地域全体で支える仕組み」が、制度の定着に大きく寄与しています。
実際に入居する際のポイント
入居希望者の立場から見ると、次の3点を意識するとスムーズです。
事前に支援団体・行政窓口に相談する
→登録住宅の紹介や保証制度の案内を受けやすくなります。
収入や身元を正確に伝える
→不動産会社やオーナーの安心につながり、マッチングしやすくなります。
入居後のルールを守り、継続的な関係を築く
→良好な入居実績が、次の支援につながります。
不動産会社の役割―地域と人をつなぐ存在
なかの不動産でも、これまで「単身高齢者」「外国籍」「障害のある方」など、さまざまなケースのご相談を受けてきました。重要なのは、入居者・オーナー・地域が安心できる環境を整えることです。私たちは、物件探しのサポートだけでなく、必要に応じて地域包括支援センターや福祉団体と連携しながら、より多くの方が安心して暮らせる街づくりを目指しています。
まとめ:誰もが安心して暮らせる街へ
住宅セーフティネット制度は、「誰もが自分らしく暮らせる社会」を実現するための大切な仕組みです。
ただし、制度があるだけでは十分ではありません。地域の理解と協力、そして私たち不動産業者の積極的な取り組みが不可欠です。
「断らない住まい探し」から、「支え合う住まい探し」へ。
なかの不動産は、これからも地域と共に安心できる住まいづくりを進めてまいります。
■お問い合わせ
住宅セーフティネット制度に関するご相談や、登録住宅の紹介をご希望の方は、お気軽になかの不動産までお問い合わせください。

